物語において、トーマスは、最後まで、トーマスでした。
トーマス、環境によって心にぽっかりと穴が空いてしまっていて、
トーマスはカミィに対して、「こいつは使える」という、道具的な意識しか持ち合わせませんでしたが、もしそこに、1ミリでも何かそれ以外の気持ちがあれば、国が救われて幸せになる道があったのかもしれない。
でも、トーマスの穴は、カミィと出会うより前に、ゲツエイが埋めてしまった。
トーマスの心の、カミィがもしかしたら入り込めたかもしれない部分に、ゲツエイが先に蓋をしてしまった。
トーマスはゲツエイのことも「道具」として見てますが、自分で意識してない深層心理で、カミィやその他の人に対する「道具」の扱いと、ゲツエイの「道具」の扱いに差がある。
ゲツエイがトーマスの、ももいろのまる。ふたりでワルツ。
ジュンイチも他者を「実験道具」として見ていたけど、もう少し心に開いているところがあって、そこが天才と、そうではない人の差ではないか。
ジュンイチのこころは開いたままだったのですが、トーマスの心は閉じてしまって、そして、僅かにあった隙間にもゲツエイが入ってしまって、そこで完結してすでに出来上がってしまっていた。
だからジュンイチとマリクはこれからも変わっていくだろうし、成長(というのかはわからないけど)、変化の余地があり、トーマスにはそれがもう無い。そこが結末の分かれ道。